2007年6月28日木曜日

ビジネスの基本・・マーケティングPART16

一撃の法則・・おのおのの状況においては、ただ1つの動きが重大な結果を生むことになる法則です。
マーケティング担当者は、無数の小さな努力の積み重ねが成果を生むと思っています。数ある戦略の中から自由に選び、その戦略計画に多大な努力を傾ければ成功できると考えているわけです。ありとあらゆることに首をつっこみ、結局は才能を無駄に費やしています。

一生懸命やとうと、気楽にらろうと、成果には関係ありません。その違いはほんの微々たるもので、大企業になればなるほど「平均の法則」が一生けん命の微々たる利点を帳消しにしてしまいます。
マーケティングにおいて実質的に効果を上げる唯一の方法は、1回きりのしかも大胆な一撃です。いかなる状況においても、実質的な成果を上げ得る作戦行動は1つしかあり得なのです。
競合会社の弱点はほぼ例外なくただ1か所しか存在しません。その1点に集中投下することが最重要です。

自動車産業では、長年ゼネラルモーターズが首位の座を陣取っていました。シボレー・ポンティアック・オールズモービル・ビュイック・キャデラックなどのブランドによって、競合であるフォード・クライスラーなどの攻撃をわけなく撃退していました。



近年においてこのGMに対して行った作戦行動は2度しか行われていません。

2度ともGMの要塞線を迂回する作戦でした。1つは日本のトヨタ・ホンダ・ニッサンの小型車による底辺部を狙った作戦で、もう1つはドイツのメルセデス・BMWなどの超高級車によって上層部を狙った作戦です。

日本とドイツによる側面攻撃のために、GMは製品ラインのテコ入れを余儀なくされました。資金の節約のためにGMは同一ボディースタイルを使用して中型車を大量に生産する、という致命的なミスを犯しました。このためGMの車はどれも同じように見わけがつかなくなったのです。
フォードはこの千載一遇のチャンスに乗じて、ヨーロッパスタイルのとーラスとセーブルによって攻撃をしかけます。
やがて日本もアキュラ・レクサス・インフィニティの各車を引き下げてなだれ込んできました。
一撃必殺の攻撃により、今ではGMの力は見る影もありません。
ただ1点の攻撃・・そのためのアイディア・コンセプトを見出すには、市場ではどんなことが起こっているのか知っていなくては不可能です。いわゆる、泥まみれの前線に足を運ばずしては、何が有効な一撃かを判断することは到底無理です。マーケッティングマネージャーが現場を知ることが、たいへん重要なことがわかると思います。




2007年6月27日水曜日

ビジネスの基本・・マーケティングPART15

15番目の法則は、「正直」の法則です。

今までと違って、ちょっと感情的な法則ですが、誰にでも経験したことがあると思います。

簡単に言えば、「悪い点は素直に悪いと認めなさい!」ということです。

一般的に企業が問題点を認めるのは勇気のいることです。大抵は問題点を認めず、悪い企業では隠そうとまでします。

しかし、実は逆で、まずネガティブな面を認めて、そのあとにポジティブな面に顧客の心を変えることが大きな成果に繋がります。

要は顧客の心をがっちりと捕まえることができるのです。
「エイビスはレンタカー業界で、ナンバー2に過ぎません」

このキャッチコピーは実際の広告で使われたキャッチです。レンタカーのエイビス社は自ら、ナンバー1ではないと公言したのです
エイビス社が業界2位であることは、米国中が知っています。わざわざ、キャッチコピーにまで使う必要はないのですが、このキャッチを見た顧客は、「よし、それならナンバー1にしてやろう」と思うわけです。

「スマッカー社」はジャムで有名な企業ですが、この企業のキャッチコピーは、「スマッカーという名前では、せめて品質を良くせざるを得ません。」です。この企業は同族会社で、大抵は同族企業は自分の一族を笑い物にしないのですが、スマッカー家は違いました。逆にこのこととが、顧客に品質ならスマッカー、という言葉を心に植え付けたのです。
「JOY」という香水をご存じだと思いますが、この香水メーカーも特徴あるキャッチを使いました。
「ジョイ。世界一高価な香水。」です。
自分の商品を「高いですよ」と言っているわけです。
しかし、おかげで顧客は「高いのだから、きっと素晴らしいに違いない」と思うようになりました。

ネガティブな面を先に公言されると、その点について「あえて追及しなくなる」ものです。さらにネガティブな面をオープンにすることで、顧客の心を開かせることができます。単純明快な人間心理なのですが、それをマーケティングに使う企業があまりにも少ないのも事実です。
注意しなければならないのは、ネガティブな面を公言した場合に、顧客の心に「同調心」がわくようでなければいけません。ネガティブ性を一瞬のうちに理解できないようだと、顧客は「これは何をいっているのだろう?」と逆に混乱してしまいます。
そして間髪入れずに、自社のポジティブな面を提示することです。顧客に対して弁解するのではなく、自分の自信のある面を素直に出せばいいのです。



2007年6月23日土曜日

ビジネスの基本・・・マーケティングPART14

属性の法則・・すべての属性には、それとは正反対のすぐれた属性が存在する。

PART6の「独占の法則」では、競合が顧客の心の中に植え付けている言葉(ポジション)と同じものを植え付けることができない、新たな属性(カテゴリー)を探さなくてはならない、と述べました。

あくまでも大切なことは、競合の「正反対」の属性を探すことです。「同じような」属性ですと、負けは見えています。

マーケティングはつきつめると「アイディア」の勝負です。マーケッターは独自の属性、アイディアを振り絞り、そこに向かって一点集中しなければ成功できません。仮になんのアイディアも無いならば、価格を下げるしかないわけです。

逆に競合が「正反対」の属性を引っさげて市場参入してきた場合は、それに対抗する新ブランドを立ち上げることで敵の攻撃をかわすことができます。

ジレットは言わずと知れた世界一の剃刀メーカーですが、この企業は競合の「正反対」の属性を馬鹿にしませんでした。ジレットはハイテク技術を駆使した剃刀とカートリッジ式の替え刃システムが強みですが、フランスの競合が使い捨て剃刀をともなって市場参入してきました。もちろん、ジレットほどの巨人ですから無視してもかまわなかったのですが、ジレットは「グッドニューズ」という独自の使い捨て剃刀を市場導入し、フランスの競合を追い出すことに成功します。

既に顧客の心をつかんでいる競合に対して「同じような」属性(カテゴリー)で勝負しても無駄です。大量の資金と多くの時間を費やしても負けることが目に見えています。
それよりも、競合の「正反対」の属性を狙うのです。いわゆる「反対語」から連想される属性です。「大きい」なら「小さい」、「大人向け」なら「子供向け」、「お年寄り」なら「若者」などです。


2007年6月21日木曜日

ビジネスの基本・・マーケティングPART13

犠牲の法則・・何かを得たいなら何かを犠牲にしなければならない法則です。
仮に成功(大きな収益を上げること)を期待する場合、そのための代償が必要となります。二兎追う者は一とも得ず、ということわざと同じです。

ここでいう犠牲とは、家庭とか時間とかではなく、「製品ライン」「対象市場」「止まらない変更(改善)」のことを言います。
「製品ライン」は前回で述べましたが、経営陣はなにかと製品の種類を出したいという欲求に駆られます。しかし成功したいのなら、逆に「製品ライン」を絞ることです。
「フェラデル・エクスプレス」社は、小口の配送1点に絞りました。そのおかげで顧客の心の中に「翌日配達」の4文字が焼き付けられ、大きな収益を上げました。
ところが、折角の「翌日配達」の1点集中を、経営陣は放棄してしまいました。「製品ライン」の拡張を図ったわけです。タイガー・インターナショナル社の空港貨物路線を8億8千万ドルで買収したのです。ワールドワイドのビジネスは旨そうに見えたのでしょう。おかげで21か月のうちに11億ドルの赤字を出しました。
ビジネスの世界・・周囲の人たちを見渡すと、2つの種類が存在します。
専門家と何でも屋です。何でも屋は、ゼネラリストですから、なんでもそつなくこなします。広く浅くって感じです。一方、専門家はいわゆるスペシャリストです。ある分野にはめっぽう詳しくて、右に出るものがいません。そのかわり他の事はまったく不得手です。

さて、どちらが大きな収益を手に入れることができるでしょうか?
なんとなくなんでも屋のほうが良さそうです。つぶしが効く、という感じですが、結果は専門家が圧勝します。
米国でインターステイト・デパートという会社がありました。百貨店ですからなんでも置いています。でも既に破産しています。でも破産した後、経営者はどの商品が儲かっているか調べました。おもちゃが儲かる、とわかった同社はおもちゃしか扱わない「トイザラス」と社名を変更して立ち上げました。収益は極めて順調になりました。

対象市場についてはどうでしょう?

コーラ業界は「コーク」の独占市場ですが、「コーク」は「ペプシ」の5倍の収益を持っています。ペプシはコークに対抗するために、「若者ユーザー」以外はすべて犠牲にしました。

ティーンエイジのみに絞ったのです。米国では収益は、コークに比較して10%の遅れを取るまで伸びました。

たばこ市場を見てみましょう。

たばこの広告は男性と女性を対象にしていることが多いのですが、それは男性市場は開拓しつくされたから、女性も取り込もうと思ったからです。でもフィリップ・モリス社は違いました。

男性のみ、しかもカウボーイに絞ったのです。そのブランドは「マルボロ」と言います。今日、「マルボロ」は世界で1番売れているたばこです。

また「マルボロ」は男性も女性も愛煙しています。対象がすなわち市場ではないわけです。マーケティング上イメージする顧客が、すなわち商品を購入するとは限らないということです。

最後の「止まらない変更」の犠牲はどういったものでしょうか?
市場は常に変化します。その変化について行こう、ついて行きたいと思い、マーケッターはトレンドを分析して、市場調査を行うのですが、しまいには道を踏み外します。ベストは今までのポジションを貫くことです。誰がなんと言おうと、現在のポジション・・すなわち既に掴んでいる顧客の心を逃さないことが最良なわけです。
成功するには以上の犠牲が付きものです。それはマーケットの必然だからです。


2007年6月12日火曜日

ビジネスの基本・・マーケティングPART11

製品ライン拡張の法則・・ブランドの権威を拡大したい、という抗しがたい圧力が存在する。

11番目の法則は「製品ライン拡張」の法則です。企業はつい、成功したブランドの製品ラインを広げてもっと売上を増やそうと思いたがります。
あの大企業IBMもそうです。大型コンピュータだけを製造販売していた時は膨大な利益を上げていました。のちにありとあらゆることに手を出し、業績はトントンにも達していません。大型PCの販売に加えて、パーソナル・ペン・ワークステーション・ミッドレンジ・ソフトウェア・ネットワークなどあらゆる事業を広げてしまいました。さらに複写機、サテライトビジネスシステムなど手がけました。複写機は現在、コダックに売却し、サテライトBSは閉鎖しています。

全ての人のすべての要望に応えようとすると、結局はなんらかの問題にぶつかります。

食品・飲料メーカーも然りです。

セブンアップは日本にも参入してきたので知っている人もいるでしょう。

セブンアップが非コーラ系のレモンライムだけだったころは、ソフトドリンク市場では5.7%のシェアを持っていました。その後、同社はセブンアップ・ゴールド、チェリー・セブンアップ、各種ダイエット飲料を製品ラインに加えたのですが、見事にシェアが落ち、2.5%と半分以下になってしまいました。
なぜここまで経営陣は製品拡張にこだわるのでしょう?
それは短期的には成功することもあり得るからです。
実は「多いこと」は「少ないこと」に通じます。マーケティングは商品における戦いではなく、顧客の知覚における戦いです。そのためには焦点を絞り込まなくては勝てません。
本当にやるべきことは、新しいブランドを開発することです。でも時間とお金がかかります。そのブランドを立ち上げるには、新たなカテゴリーで一番手になることです。どうしても企業は安直な製品ライン拡張へと流れてしまいます。

2007年6月11日月曜日

ビジネスの基本・・マーケティングPART10

分割の法則・・時の経過とともに1つのカテゴリーは分割して、2つ以上のカテゴリーに分かれていく。

まさしくアメーバのように、マーケティングの舞台では、たえず拡大を続ける海のようなものです。1つのカテゴリーは最初は単体としてスタートします。たとえばコンピュータ。ところが時がたつと、大型コンピュータ、ミニコンピュータ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、ノートブックなどとカテゴリーがどんどん細分化していきます。

商品だけでなく、音楽などの芸術分野も同様です。最初はクラシックとポピュラーとしか無かった分野が、ジャズ、フュージョン、カントリー、ラップ、レゲェーなど細分化していきます。ビルボード誌では11の異なるヒットリストが掲載されています。

この各カテゴリーは区分された個別の存在です。カテゴリーはそれぞれ存在理由があります。またそれぞれのカテゴリーにはリーダーがいて、そのリーダーは当初からあったカテゴリーのリーダーであったことはまずありません。当時はそのカテゴリー内での革命児などと言われたものです。

最大のミスは、多くの企業経営者たちが、このよう分割のコンセプトを理解せずに、カテゴリーは互いに結合していくと勘違いしてしまいます。「連携」とか「企業連携」という言葉を耳にしますが、これがカテゴリーの結合を意味しています。

では既存のカテゴリートップが、その座を維持する方法はないのか?と言いますと、新たに登場したカテゴリーに対してそれぞれ異なるブランド名を使用することです。GMは「シボレー」「ボンティアック」「ビュイック」「キャデラック」といったブランド名を使いました。

勘違いしたのがフォルクスワーゲンです。当時の成功があまりにも華々しかったので、経営陣は、自分たちもGMと同じような大型で高速で、スポーツタイプの車も売ることができると考えました。失敗したのは、全機種に「フォルクスワーゲン」のブランドを付けたことです。当時の広告は、「異なる人々に異なるフォルクスを」でした。

このキャンペーンで、「ビートル」「411型セダン」「ダッシャー」「シング」さらにステーションワゴンの5種類を米国に進出させましたが、ビートル以外は惨敗でした。
さらに悪いことに、同社は高価なフォルクスワーゲンの新機種に踏み切りました。「バナン」「シロッコ」「ジェッタ」「ゴルフGL」「カブリオーレ」です。ペンシルバニアに工場まで建てたのです。フォルクスワーゲン社は小型カテゴリーだけは拡大しましたが、大衆は耐久性に富み、経済的なフォルクスワーゲンを飼う事が出来なくなったため、トヨタ、日産、ホンダに流れてしまったのです。67%のシェアが4%に辛くしてしまいました。
カテゴリーはやがて分割していく自然の理を誤ると惨敗を期する良い例です。



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